空隙歯列(すきっ歯)とは?
歯と歯の間に不自然な空間がある状態を言います。
一般的には、「すきっ歯」と呼ばれ、特に前歯の真ん中に隙間が生じているケースを「正中離開(せいちゅうりかい)」と言います。乳歯列期にはこれから生えてくる永久歯のためにある程度必要ですが、永久歯列には不要であり、矯正治療の対象となります。
すきっ歯の原因
すきっ歯にはさまざまな原因があります。
乳歯または永久歯への生え変わり中のすきっ歯
乳歯のすきっ歯(4~6歳)
子どもの乳歯が隙間なく生えていると将来的に歯並びが悪化する恐れがあります。永久歯は乳歯よりも大きいため、生え変わる際に十分な空間がないと、歯と歯が重なって生えてしまい、デコボコな歯並びになりかねないからです。
乳歯のすきっ歯は永久歯が正常に生えるために必要なものですので、治療せずに経過観察することが重要です。
永久歯に生え変わる混合歯列(8~10歳)
乳歯と永久歯が混在する混合歯列期の上前歯はすきっ歯であることが多く、犬歯が生えることで次第に空間がなくなっていきます。一時的にすきっ歯の状態ですが、永久歯が正常に生えるために必要なスペースなので、基本的に治療は不要です。
このほか、混合歯列の際に過剰なスペースが生じるケースを解説します。
その他の原因
指しゃぶり
指しゃぶりによって指を強く吸うと、前歯が前側に飛び出して、オープンバイトや出っ歯などの不正咬合に繋がる恐れがあります。 美しい歯並びにするためにはおしゃぶりや指しゃぶりを3~4歳までにやめさせることが大切です。
口呼吸
口呼吸によって歯並びが悪化する恐れがあります。原因は複数ありますが、特に舌が正常な位置に収まらず下がる低位舌が代表的です。低位舌によって口元の筋力が低下するほか、歯に舌を当てる癖がつくため、すきっ歯や出っ歯といった不正咬合に繋がる恐れがあります。
顎と歯の大きさのバランスが悪い
顎と歯の大きさがアンバランスだとすきっ歯になる恐れがあります。歯が小さい一方で顎が大きいと、歯と歯の間に空間が生じてすきっ歯になります。
すきっ歯を放置すると…
お子さまのすきっ歯を放っておくと重症化するほか、さまざまな弊害が生じる恐れがあります。
発音に支障をきたす
すきっ歯によって「さ行」や「た行」を発音する際に歯と歯の間の空間から空気が抜けて発音に支障をきたし、滑舌が悪いという印象を与える恐れがあります。
コンプレックスを感じる
すきっ歯を幸運の歯や美人と評価する国もありますが、日本ではネガティブな評価に繋がりやすく、多くの方がコンプレックスを感じています。
すきっ歯は体の健康だけでなく、発音や容姿など、コンプレックスに繋がりやすい傾向があります。
適切な時期に治療を始め、お子さまのストレスを軽減することが望まれます。
すきっ歯の矯正治療
お子さまのすきっ歯には、正中離開(せいちゅうりかい)や空隙歯列(くうげきしれつ)のほかにも、発育空隙(はついくくうげき)という症状もあります。乳歯が生え変わる過程で生じる発育空隙は異常がないという診断となるため、治療を行わず経過観察する場合があります。
永久歯が正しく生えるためにも適切な隙間は欠かせないため、レントゲンなどの検査によって治療の要否を検討します。レントゲン検査で過剰歯や埋伏歯などが見つかった場合、歯を抜くなどの外科処置をすることもあります。
すきっ歯の症状次第ですが、多くは小児矯正で治療が可能です。